子宮がんは、その名の通り、女性特有の臓器である子宮に発生するがんです。
45歳~54歳のアラフィフ女性では、乳がん、子宮がんの割合が多いですが、高齢になると、消化器系(胃、大腸、肝臓)と肺がんの割合が増えていきます。
子宮は、膣に近い「子宮頸部」と、奥にある「子宮体部」に大別されます。
子宮がんも、がんができる部位によって「子宮頸がん」と「子宮体がん」と2つのがんにわけられます。
子宮頸がんは、子宮と膣をつなぐ「子宮頸部」にできるがんです。子宮がん全体の約8割を占めます。
20~30歳代の女性が患うがんの中で、最も多く見られます。
子宮頸がん細胞は、比較的ゆっくり増殖します。原因となるHPV(ヒトパピローマウイルス)の感染から、5~10年以上かかって増殖するといわれています。
そのため、定期的に子宮頸がん検診を受けることで、早い段階で発見できる可能性が高いのです。
子宮頸がんは、子宮がん検診の普及に伴い、早期発見・早期治療が進んでいます。
子宮体がんは、子宮上部の子宮体部にできるがんです。多くの場合、子宮の内側を覆う子宮内膜に発生します。
子宮内膜は、生理のたびに剥がれるので、閉経前に子宮体がんにかかることは稀です。
そのため、40歳代後半から増加し、50~60歳代でピークを迎えます。まさにアラフィフ女性がかかりやすい年代です。
子宮体がんの発症は、ホルモン環境が大きく影響しているといわれています。未婚・未妊、ホルモン剤の服用などがその因子として考えられています。
子宮体がんは発生場所が子宮の奥なので、発見しにくいといわれています。
ただし、子宮体がんが現れる前の症状として「子宮内膜増殖症」が注目されています。
「生理のときの経血量が増える」「不正性器出血がある」などの症状がある場合、検査で早期発見できる可能性もあります。
子宮がんは、子宮頸がん、宮体がんのどちらも、初期段階では、無痛・無症状の場合が多く、自覚症状から発見することは難しいです。
ですが、身体や分泌物に特徴的な変化が現れます。
一番大きな特徴は、おりものの異常です。
おりものは、子宮自体の自浄作用を担っています。子宮が正常な場合は、おりものは無色透明か白色で、ほとんど臭いもありません。
皮膚におりものが触れても、かゆみなどはありません。下着についても、異臭がすることはありません。
子宮がんに罹患すると、おりものは、異臭がし、色が黄色や褐色になっている、皮膚に触れると炎症を起こすというように変化します。
このおりものの変化は、子宮内のがん細胞の壊死、腐敗菌の繁殖、不正出血の混入などが原因です。子宮の異常を示す大きなサインになります。
このようなおりものが見られた時は、至急、子宮がんの検診を受けることを強くお勧めします。
子宮がんの症状セルフチェック項目
子宮がん症状のチェック項目を以下にまとめました。
- 月経不順、不正出血などの月経異常が続いている
- 不正出血がある
- 背中や腰に痛みがある
- 性交時に激痛や出血がある
- おりものの量が増えたり、上記のような異常がある
- 下腹部に張りや痛み、違和感がある
- 排尿・排便に違和感がある
このような症状は、子宮がんにみられる代表的なものです。
不正出血や性交時の出血は、膣部に近い部分にがんができ、そこから出血がみられる場合に起こりやすいです。
ただし、不正出血といっても、まとまった量の出血があるとは限りません。出血量が少なくて、不正出血に気がつかないこともあります。
子宮がんの早期発見には、少し出血したような薄い汚れが下着についた程度でも、早めに婦人科を受診することが必要です。
子宮がんが進行し、周辺臓器に転移がみられると、背中や腰、下腹部などに痛みを感じたり、排尿や排便が困難になったりすることがあります。
肥満や高血圧、高脂血症の方は、そうでない方よりも、子宮がんになるリスクが高くなります。定期的に子宮がん検診を受けましょう。
子宮がん検診はどのような検査をするの?
子宮がん検診は、20歳以上の女性が対象で、隔年(2年に1度)の受診が推奨されています。
主な検診内容は、問診、視診、内診、細胞診です。必要に応じて、コルポスコープ検査が行われる場合もあります。
コルポスコープ検査とは、コルポスコープと呼ぶ拡大カメラで膣内を撮影する精密検査です。
子宮がん検診は、地方自治体(都道府県、市町村、特別区)や保健所で受けることができます。各地自体や保険所にお問い合わせください。
子宮がん検診は、基本的に、子宮頸がんのスクリーニングを目的に行われるものです。子宮体がんは発見できない可能性があります。
子宮頸がん検診の結果、「ハイリスク群」と判断された場合、子宮内膜細胞診・子宮内膜組織診などの子宮体がん検診を受ける必要があります。
子宮頸がんも子宮体がんは、「かかりやすく治りやすい」がんのひとつといわれています。
定期検診を受けることで、早期発見できる可能性があります。
20~40歳代前半の女性は、公費の「子宮がん(子宮頸がん)検診」を、40歳代後半以上の女性は「子宮体がん検診」を定期的に受け、子宮がんの早期発見に努めましょう。